あとがき

 合同企画「あやかしの夏」文章を担当させていただきましたFUSIです。
 本作を最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。
 如何でしたでしょうか。感想などいただけると、制作者両名小躍りして喜びます。
 そしてお詫びを。
 去年にテスター版を配布してから、間が開いてしまったこと、そして加筆修正なしの発
表となってしまったこと、どちらも制作サイドの落ち度です。申し訳ありません。
 しかしながらこうして、発表にこぎつけることができたのは素直に嬉しいです。
 最終チェックのために読み返していると、まるで過去の自分と対話しているような感覚
があります。序章を書き始めたのはおよそ一年前なわけで、今とは大分文体から何から変
わっています。今の自分ならこう書くのにー、とか、そういえばこんなこともやってたな、
などなど……アルバムを紐解くような感慨があるのです。よくも悪くも、当時の私がやり
たかったことが詰まった作品です。書いてよかったと思います。最後まで付き合ってくだ
さいました、原作・絵担当の熊都氏には、改めて御礼を申し上げます。

 そしてここからは制作裏話を。
 メッセンジャーで熊都氏とチャットをしていた時に、本作の元となる絵や原案を見せて
もらった私が、面白そうだから短編小説にしてもいいですか、と言い出したのが当企画の
始まりでした。そして完成した短編は、獅条恭二を主人公とする――つまり本編序章の一
幕にあたる部分です。
 チャットで話しているウチに盛り上がってきて、続き書こうぜということになりました。
 それが大体昨年――二〇〇五年の五月くらいのことでしょうか。
 最初はルート分岐シナリオにしようぜということでプロットを切ったのですが。
 その、企画が進行していくにつれて発表媒体が変化していきまして……
(ノベゲーにするとか、ウェブノベルでしおりと選択肢をつけるとか。アイデアは色々あ
ったのです)
 で、最終的にルート分岐シナリオを一つの話に全部ぶち込むという無茶をやらかしまし
た。
 実は選択肢分岐の名残を一部残してあるのですが、気付いた方もいらっしゃるかもしれ
ませんね。
 その結果主人公は、全ルートのラスボスと連戦するという可哀想なことになったわけで
す。
 エピローグも、せっかくなので複数のエンディングを繋げたような形にしました。
 まさかこれほどまでに大団円っぽく終わるとは、私自身思いもよらなかったことです。
 初期プロットでは、もっとガンガン人死にが出る、私好みの話だったハズなのですが。
 テスター版でいただいたご意見や熊都氏の説得などにより、ほぼ全滅するはずだったヒ
ロインたちは最終的に死を免れることになりました。今になって思い返すと、アレは後味
悪すぎだよなぁなどと冷や汗が出てきます。なんというか……危なかったネ♪

「あやかしの夏」は、原作の熊都氏が創造された膨大な設定資料を元にしています。
 なるべく氏のイメージを崩さぬよう書いたつもりですが、まだまだ描ききれていない部
分もあるかと。今作で張られている伏線の先にあるものは、きっと熊都氏の今後の創作活
動で明らかにされていくだろうので、私自身期待しております。

 一人じゃなく、誰かと共同で作品を作るのはとても楽しい体験でした。
 機会があれば、またやってみたいと思います。

 二〇〇六年七月二日 FUSI
 
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 どもども「あやかしの夏」イラストを担当させていただきました熊都ヒロキです。
「あやかしの夏」お楽しみいただけたでしょうか?
 感想など〜とかは文担当が言われていたので以下略で。(コラ

 そして私の方からも、お詫びを。
 本来、各ページごとに1シーン挿絵をつける予定でしたが、実力の不足で納得のいくも
のを描き上げることが出来ませんでした。なので今作は扉絵だけイラストをつけるという
形になってしまいました。
 二人そろってお詫びってどうなのよ?とおもわないでもないですが、作品に関しては、
二人とも現状できる範囲で最高の物を送りだせたのではないかと思っております。

 FUSIさんも触れておられましたが、物語の舞台となっている「イワト」
 そして「外」の世界、いずれも世界観、設定、キャラクター等は私が原案のモノだった
のですが、今回、合同で作品を作っていく中で、FUSIさんによってそれらの世界に新
たな魅力、厚みが加わったように感じられました。
 今後もこの世界の物語を何らかのカタチで、作っていきたいなぁと思っておりますので、
どうぞご期待くださいませ。


   それから、作品を作るにあたってお世話になった皆様に感謝を
 すばらしい文書で世界を彩ってくれたFUSIさん、これからはプロの舞台でガンガン
すばらしい作品を書いてくださると信じております。
 貴重なご意見、ご感想をくださいましたテスター様方。大変創作の参考になりました。
 皆様のご意見で全滅ENDは回避されたようなモノです。いやまじでw
   そして作品を読んでくださった皆様方。
 本当にありがとうございました。

 もしよろしければ、これからも獅条さんたちの物語にお付き合いくださいませ。


 二〇〇六年 七月六日早朝 熊都ヒロキ
(あやかし公開準備を終えたばかりなのです)


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